ラフマニノフ自筆書簡

          

クリックすると画像が大きくなります。

和訳        原文


和訳      

親愛なるアレクサンドル・ヴァシーリエヴィチ 注1)

 昨晩はウィニペグ 注2)で演奏しました。批評を同封します。私の演奏も御社の楽器も評判は上々でした。
 ところで、ワシントン 注3)、ボルチモア 注4)、ニューヨーク 注5)での演奏会のために、別のピアノを用意していただけますでしょうか? bSか、もしくは私がbQと一緒に選んだ楽器でも結構です。正直なところ、もうbPは弾きたくありません。

 プレフェランス 注6)のほうはいかがですか? きっとお楽しみのことと思います。
 それでは、アレクサンドラ・フェオクチストヴナ 注7)にもよろしくお伝えください。

S.ラフマニノフ

汽車がひどく揺れるのできれいに書けません。


 この手紙は1934年11月20日、演奏会ツアーのためのウィニベグからシアトルへの移動中の列車(カナダ・パシフィック鉄道)の中で書かれたものです。

注1) スタインウェイ社のコンサート部長グレイネル。

注2)1934年11月19日にウィニペグで行われた演奏会で、ラフマニノフはモーツァルトのピアノ・ソナタ ニ長調K.576、ショパンのピアノ・ソナタ ロ短調 作品35 などを演奏した。

注3) 1934年12月9日にワシントンで行われた演奏会で、ラフマニノフはベートーヴェンのピアノ・ソナタ ヘ短調 作品57 「熱情」、ショパンの即興曲、スケルツォ ロ短調などを演奏した。

注4) 1934年12月10日にボルチモアで行われた演奏会で、ラフマニノフは11月19日のウィニペグでの演奏会とほぼ同じ曲を演奏した。

注5) 1934年12月27日と28日に、ラフマニノフはブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルと自作の「パガニーニの主題による狂詩曲」を共演した。「パガニーニの主題による狂詩曲」はこの年に完成したばかりで、ラフマニノフとストコフスキー指揮フィラデルフィア管により11月7日にボルチモアで初演され、12月24日には同じ組み合わせにより録音が行われている。

注6) トランプ・ゲーム。

注7) グレイネル夫人。


参考文献:LN/A


原文

  Дорогой Александр Васильевич,
  Вчера вечером играл в Winnipeg. Посылаю рецензию. Здорово нас с Вами там хвалят!
  Кстати, не могли бы Вы для Вашинтона, Балтиморы, Нью−Йорка устроить мне какой−нибудь другой рояль? Или номер четвертый или тот, который я выбрал вместе с номром вторым? По правде сказать, мне не хотелось бы играть больше на bP.
  Ну, а как преферанс? Поигрываете, небось, счастливые!
  Поклон Александре Феоктистовне.

                                Преданный С.Рахманинов 

  Подлец поесд так трясет, что писать прилично невозможно.


※単語の途中で改行している場合があります。


[本館入口へ戻る]      [歴史的資料部門入口へ戻る]